F1伝説。凄すぎて禁止になった技術がヤバイ!天才エンジニアたちの秘策5選

レース車両には、レギュレーションと呼ばれるルールがあります。

その決められたルールの中で車両を制作し、チーム一丸となってトップを目指します。

しかし、そのルールの合間をすり抜け、天才エンジニアによって次々とヤバイ技術が開発されました。

今回は、実際にF1で開発された、あまりにも速すぎて禁止になった技術について解説します。

レギュレーション。最速のF1にもルールがある。

最速を競うF1にも、レギュレーションがあり、勝つためならば何をしてもいいというわけではありません。

イコールコンディションで戦えるように、レギュレーションが設定されています。

そのルールの中で、最速を目指して、ドライバーと相談しながら車両を制作します。

単純にドライバーの腕だけではなく、技術力を競う戦いでもあります。

しかし、どのチームも勝つために、レギュレーションの隙間をすり抜け様々な技術が開発されました。

今から紹介します技術も、開発されたときは、もちろんレギュレーションの範囲で作られていましたが、あまりにも速すぎたため、レギュレーションが変更され禁止にされました。

レギュレーションを変更させてしまうほどヤバい技術5選

・1つ目 アクティブサスペンション

走行中にサスペンションが上下して、車高を一定に保てる技術です。

基本的に車両を速く走らせるには、地面に押し付けて走った方が速く、コーナリングや加速にも影響してきます。

ダウンフォースと呼ばれるもので、車高の低い状況で走ると、重心が低くコーナーでも振られなくなります

このダウンフォースを、有効活用するために車両には様々な工夫が施されていました。

代表的なものでは、リアウイングを立てるなどがあります。空気抵抗を当てて車高を下げる技術です。

しかし、これにはデメリットがあります。

空気を当てすぎるとスピードが落ちてしまいます。

そこで考えられた技術がアクティブサスペンションで、車体の下の空間の空気を遮断する事で、ダウンフォースを得るという技術です。

1992年にウイリアムズが制作した技術で、車体と地面が一定の間隔でないと効力を発揮しません。

サーキット場によって環境も違い、凹凸も違ってきます。走行ラインによっても変わってきます。

しかし、それらをすべて調べ上げて、データ化することでアクティブサスペンションの技術を最大限に活用しました。

走行上の凹凸に合わせて、サスペンションを動かしていました。

画期的な技術で圧倒的な速さでしたが、豊富な資金力で開発が進められる上位チームと下位チームの差が顕著に出てくるため、レギュレーション違反でなかった技術でしたが、ルールの解釈を変更して禁止の技術になりました。

・2つ目 フレキシブルウイング

風の抵抗を受けながら柔軟に可変するウイングです。

先程少し触れましたが、リアウイングにもデメリットがあります。

空気抵抗を受けすぎると速度が落ちてしまうというデメリットでしたが、フレキシブルウイングでは、そのデメリットが改善されています。

強い空気抵抗を受けると、それを逃がすためにリアウイングが可変します。

ウイングの硬度をシビアに調整して、生み出された技術でした。

レギュレーションでは、電動で可変するウイングは禁止されていました。

しかし、電動じゃなく風の抵抗で可変するフレキシブルウイングは、車両検査の時には合格となっていました。

天才的な発想で作られた技術でしたが、残念ながらこちらの技術も禁止となりました。

レギュレーションが変更されました。車両検査時に、リアウイングの引っ張り検査が行われるようになり、柔軟なウイングは禁止となりました。

・3つ目 マスダンパー

F1マシンは特徴的なフロントで、先端が尖っていて空力を計算されて作られています。

先程から何度も出ているダウンフォースをいかに利用できるかが、F1マシンの速さに直結します。

このフロントウイングも、ダウンフォースを利用できるようになっています。

しかし、ダウンフォースを利用するためには、フロントのバネレートを硬くする必要があります。

バネレートが硬いと、コースの縁石に乗り上げた時に衝撃がダイレクトに伝わります。

この衝撃を逃がすために作られたのがマスダンパーで、フロントノーズの中にバネと重りを垂直に吊り下げるだけのシンプルな技術でしたが、効果は絶大でした。

マシンが起伏を乗り上げるたびに、重りが上下に揺れて衝撃を吸収していました。

マシン全体の衝撃を解消する画期的な技術でしたが、こちらも禁止となりました。

ルノーが2006年のシーズンに新デバイスで導入した技術でしたが、シーズンの途中で「可動式空力デバイスに当たるから禁止」と言い、マスダンパーを禁止にしました。

・4つ目 ブロウンディフューザー

2011年レッドブルが導入したブロウンディフューザーは、エンジンの排気システムでダウンフォースを生み出す技術です。

この驚きの技術により、レッドブルは圧勝してしまいました。

レッドブルには、「空力の天才」と呼ばれる、エイドリアン・ニューウェイがいました。

車の排気さえも、ダウンフォースに利用していました。

通常であれば、アクセルオフにしたときは排気は出ませんが、アクセルオフでも排気が出るように変更して、常にディフーザーに排気が当たるようにしました。

しかし、こちらの技術も、あまりにも速すぎたため禁止となってしまいました。

翌年には、排気口の取り付け位置を決めてしまい、ブロウンディフューザーを使えなくしてしまいました。

・5つ目 Fダクト

2010年に、マクラーレンが導入したシステムです。

空気を取り込むために、コックピット前方にダクトの入り口を設置して、リアウイングまで一気に通り抜ける道を作りました。

こちらの技術には長所と短所がありました。

ダクトの通り道を、ドライバーの手で抑え込むことでリアウイングの抵抗を減らすことができました。

これにより、直線では加速することができ、コーナーリングなどリアウイングの抵抗が欲しい場面では、手を離すことによってリアウイングの抵抗を生み出していました。

しかし、こちらの技術はドライバーの手で通気口を抑える必要があり、一時的に片手で運転しなければいけませんでした。

危険な技術という事で、1年でFダクトも禁止となりました。

おまけ ダブルディフューザー

リアバンパーにある、空気を流すシステムがディフューザーです。

HONDAに加入したスタッフの一人が、通常のリアタイヤの途中から始まるディフューザー

を、その手前にもう一つ付けようという事で開発された技術です。

フロアの下からディフューザーを付けることによって、空気の流れをコントロールできました。

空気の乱流を制御することが出来たため、マシンが安定して速く走ることが可能でした。

2010年に導入した技術でしたが、2011年には禁止とされてしまいました。

動画で詳しく解説

まとめ

レギュレーションの隙間をすり抜け、新しい技術が開発されたときに優勝できると言われているほど、マシンは重要になります。

F1では、レースを走り終わるとすぐにマシンから立ち去り、車両検査を受けるという厳しい決まりがあり、レギュレーション違反はできません。

優勝を勝ち取るために技術者は、天才的な発想で新しい技術を次々に生み出しています。

レースの世界は、単純なドライバーの腕だけでは決まりません。見えないところで、天才達の様々な工夫があります。

そういった視点で見るのも、F1の楽しみ方の一つでもあります。

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