自動車のEV化が、最近ニュースでよく取り上げられています。
EV化が進むことによって、地球温暖化対策になるということで、政府も力を入れています。
しかし、問題点もあります。
EV化により、雇用が30万人減ると言われています。
日本の大企業トヨタの豊田社長も「脱炭素化によって多くの雇用を失う」と発言しています。
今回は、脱炭素社会の取り組みによってどういう問題が起こるのか?を解説します。

脱ガソリン問題
EV化が進む事によってクリーンエネルギーになり、CO2の削減ができて燃費もよくなってと、いいことばかりというイメージの方もいると思います。
しかし、EV化が進むと、自動車業界のガソリン車関係の雇用が30万人減ると言われています。
現代では、ガソリンが不要の時代に移り変わろうとしています。
時代の移り変わりにより消えていく産業があるのは、仕方がない事だとも言えますが、何らかの対策が必要なのではと思います。

2023年10月:和歌山県有田市の製油所閉鎖予定
今年の1月に、ENEOSの社長が、「2023年10月に和歌山県有田市の製油所を閉鎖します」
発表しました。
ニュースにもなっていたので、ご存じの方も多いと思います。
和歌山県の有田市は、ENEOSと協力しており、有田市の製造業の出荷割合の9割がENEOSになっています。
金額に表すと、約4700億円にもなります。
製油所を閉鎖することにより、社員は社内異動となり、下請けの協力会社は廃業となります。
ENEOSと協力会社社員数は、1300人にもなります。(市の人口の5%)
この1300人の雇用が消えるという事になります。
80年間ENEOSを中心に栄えてきた町でしたが、来年の10月には終止符が打たれてしまいます。

ENEOSの対応
ENEOSは工場の閉鎖に伴い、正社員に対しては仕事を割り振り、社内異動という形をとり雇用を守るということを発表しています。
しかし、単純に、1300人だけが被害を受けるわけではなく、周辺のコンビニや居酒屋、住居など全てに被害がいきます。
これにより、地域の仕事がなくなってしまうと言われています。
和歌山県有田市は大損害を受けることになると思います。
この問題は有田市だけではありません。
北海道の室蘭・愛知県の知多・神奈川の根岸など各地の製油所を閉鎖しています。

ガソリン元請けメ-カーの減少
ガソリンの需要の低下に伴い、ENEOSだけではなく、業界全体が縮小しています。
35年前には15社ありましたが、現在では、ENEOS・出光・コスモの3社にまで減っています。

ガソリンスタンド自体も減っていて、1990年には6万店舗以上あったのが、現在では、3万店舗を下回っています。
25年間で、約半分も減ってしまいました。
事業者数も減り、こちらは、半分以上も減ってしまいました。

ガソリン需要が減ったという理由もありますが、更新費用が払えずに閉鎖してしまう事業者もいるみたいです。
ガソリンスタンドの地下には、タンクがあります。
そのタンクにかかる費用が高く、3000万~4000万もかかり、廃業してしまうそうです。

2020年度ガソリンスタンド減少数(都道府県別)1位~10位

このグラフを見ると都心じゃない場所でも、ドンドン減っています。
1年間でこれだけのガソリンスタンドが潰れて、無くなっています。
ガソリンスタンドが1軒もない町村が10か所もあります。
1軒しかない町村は、86か所になります。
フルサービスは生き残れない?セルフなら生き残れるのか?
グラフを見ると、給油を行ってくれるフルサービスのガソリンスタンドはドンドン減少しています。
しかし、逆にセルフのガソリンスタンドは少しずつ増えています。
セルフの場合は、人件費を削減できるため、ガソリン代が安く需要が高まっています。
これにより、ガソリンスタンドでの雇用は無くなっていくでしょう。
高校生や大学生のアルバイトで、ガソリンスタンドで働くという人は少なくなると思います。

まとめ
時代の移り変わりにより、衰退していく産業は出てきます。
かつての、長崎の軍艦島のような場所が出てくるのかもしれません。
就活されている方は、5年先、10年先の時代の移り変わりを予測して、就職先を考えたほうがいいかもしれません。
ガソリン事業も何らかの対策を講じ、雇用を守るためにも、なんとか乗り切って欲しいです。