最近の自動車業界は深刻な人手不足で、ヤバいのでは?と言われています。
この背景には、少子高齢化や人口減少問題が大きくかかわっています。
今回は、整備士不足についてと、その裏にある、人口減少問題と少子高齢化問題についての原因と対策について解説します。
現在の整備士の状況について
最近、自動車業界は深刻な人手不足にあります。
さらに高齢化も進んでおり、10年後はどうなるのか?と言われるほどになりました。
平均年齢はH17年は40.5歳でしたが、H30年には45.3歳と高齢化しています。

これは、年齢の高い人が増えたのではなく、若い整備士がドンドン減っているから起きている現象です。
自動車整備学校の入学者数のグラフを見ると、2003年には1.2万人いましたが、2020年は6000人まで減っています。
ピーク時から比べると、半分まで減っています。

有効求人倍率の推移を見てみますと、自動車整備の倍率は3.73となっています。
1人の若い人を、どれだけの会社が奪い合うかの数字となっています。
自動車整備の倍率は3.73なので、1人当たり約4つの企業が奪い合わなければいけないほど、若い人は貴重な人材になっています。
昔は、企業が人材を選ぶ立場でしたが、今では逆転して、若い人が企業を選ぶ時代になりました。
安い初給料や、車離れが進み、若い世代が車自体に興味がなくなってしまった結果、平均年齢が極端に上がっています。
人口の減少問題とも大きくかかわっていますが、自動車業界は特に顕著に出ているのではないでしょうか。

人口減少問題と少子高齢化問題について
特に影響が出ているのは自動車業界ですが、ほかの業種にも影響は出ています。
今の日本は、少子高齢化社会で人口もどんどん減少しています。
総人口の推移を見ると、平成22年以降、日本の人口は激減して、64万人も減っていることがわかります。

世界と比べると、日本だけ人口が減少しています。2100年には現在の人口から半分になると言われています。

さらに問題となるのが、人口が減っている世代が、若い世代というところにあります。
世代別の人口分布を見ると、45歳~49歳の方が一番多く、その次に多いのは70~74歳の方になります。
40歳以下から下の世代になるにつれて、人口が減っているのがわかります。

これが、最近問題視されている少子高齢化になります。
何が問題なのかを知っている方は多いと思いますが、具体的に何が問題なのかについて解説します。
少子高齢化は何が問題なのか。デメリットについて詳しく解説。
働ける人数がどんどん減っているのが問題になっています。
税金は、働いている人が多く納めますが、この働ける人が減ると税収が減ってしまい、1人当たりの負担が増える結果となります。
働ける年齢の人たちを生産年齢層と言います。15歳から65歳までの人たちのことを指します。
現在、生産年齢層は59.9%、約6割の人しかいません。人数で表すと7557万人しかいません。
約4割の人は、働けない年齢層になります。
高齢者の割合は28.9%となっています。年金総額は58.5兆円になります。生活保護の総額は3.8兆円、合計62.3兆円です。
このとんでもない額を負担するのが、税金になり生産年齢層の人たちになります。
7557万人でこの額を割ると、年間1人あたり82万円を高齢者に税金として納めていることがわかります。
少子高齢化が進んでいくと、生産年齢層の人口は減っていき、1人当たりの負担はどんどん増えていきます。
高齢者の為に税金を納める仕組みは良いのですが、負担が増え続けるのは問題です。
10年先、20年先になるとどうなるのか?と将来への不安を感じます。

なぜ少子高齢化が進んでいるのか?
アメリカ・フランス・オーストラリアなど、外国は少子高齢化になっていないのに、なぜ?日本だけ少子高齢化問題が起きているのか?そこには政治が関係しています。
アメリカと比べると、Z世代=25歳以下の年齢層が一番多く、その多い層に向けて、商品開発や政治を行います。
アメリカの年齢別人口分布

日本は40代~70代が多く、高齢者向けに商品開発や政治を行います。
一番人口の多い高齢者からの票を集めるために、高齢者向けの政治をして、現在の若い世代に向けて政治を行いません。
これが少子高齢化を加速させている原因になります。
女性の未婚率というグラフを見ると、1960年代は40歳までには、結婚するのが当たり前という時代がありました。
現在では、4人に1人が40歳になっても独身というのが一般的になってきました。

女性の社会進出が多くなっているのはいいことでもあります。
しかし、結婚率が下がると、生まれてくる子供の人数は減ります。
特殊出生率という、15歳から49歳までの女性が子供を産んだ平均値を見てみますと、現在1.34になっています。
この数字が最低でも2以上じゃないと人口は増えていきません。
昔は、4人家族や5人家族が多かったのですが、現在は3人家族が多くなっています。
この背景にあるのが、若い世代の給料が安いという問題に繋がっていきます。
子供を育てるには、たくさんのお金がかかります。
大学まで行かせることを考えると、3000万円以上かかると言われています。
将来のことを考えると、子供は1人が限界とセーブしてしまう家庭が多く、少子高齢化問題につながっています。不景気と少子高齢化問題は、実は繋がっています。
アメリカなどは特殊出生率が低下すると、補助金を出して対策をしています。
この対策がしっかりされているから、少子高齢化にはつながっていません。
しかし、日本は、政府が子供用の補助金を出しません。
なぜ日本は補助金をしっかり出さないのか?
日本は少子高齢化で40代~70代が多くなっています。
この人口の多い世代に向けて、政治を行うことが票につながります。
若い世代に向けて政治を行うと、票が取れず落選してしまう可能性が出てきます。
これが原因で、若い世代向けの政治が行われずに、少子高齢化がどんどん加速しています。
少子高齢化で騒がれていて危機的状態になっているのにもかかわらず、若い世代向けである、子供用の補助金が少ないままになっています。
政治家の生き残りのための政治が行われ、日本のための政治が行われていません。
人口減少・少子高齢化問題への対策
出生率が下がっている原因の1つが、金銭的な問題になっています。
これを改善するには、最低賃金の引き上げで初任給を上げるという事と、子供が生まれた時に補助金を出す等の、制度を整備していく必要があります。
子供を育てるのにかかる費用を国が負担するなどしていかない限り、出生率は下がっていく一方だと思います。
若い世代の方は、しっかりと選挙に参加するようにしましょう。
票が増えることにより、若い世代に向けた政治が行われていくかもしれません。

動画で詳しく解説
まとめ
現在の日本は、負の連鎖になっているのがよくわかると思います。
この悪循環により、2100年には人口が半分になると言われています。
政府が対策を出さない限り、この問題は解決しません。
このままでは、若い世代の方の負担はどんどん重くなっていきます。
政府に動いてもらうためにも、選挙に参加して、存在をアピールしていく必要があると思います。